カイエ

本とか色々

はじめによせて

 そういえば昔から書評というものは好きだった。

 土日の新聞の文化欄なんかをチェックするのは好きだったし、今でも本を読むときの手掛かりにしている書評サイトなんかはいくつかある。冬木糸一さんの「基本読書」だったり、鳥ふくろうさんの「ボヘミアの海岸線」(旧・キリキリソテーにはうってつけの日々)だったり、故・二階堂奥歯さんの「八本脚の蝶」がそれにあたるわけだけれども、ついぞ今まで自分がそういうものを書こうと思って実行に移したことは無かった。

 何故か、と問われても説明しがたいのだが、書きたいという気持ちはあってただそれを文章にまとめてどうこうと説明するのを苦手としていたからというだけの気もする。

 ただ、思うのは今まで本を読んできて、読了後に抱いた考えや感情というものをお座なりにしてしまったのではないかという事だ。こういったことは毎度毎度思っていて、ふと思い返した時、何か取り返しのつかないようなことをしてしまった、という漠然とした不安感があった。そういった不安感が心の片隅に凝り固まっていたのに最近ようやく気付いた気がする。概してこういった思いというものは後から無理に思い返そうとしても鮮度が失われてしまっていて、どこか焦点のぼやけたものにならざるを得ないというのを肌身に沁みて感じている。

 また、最近読書会というものを不定期に開催している。今まで私が読んできた本は純文学や海外文学やSFに分類されるようなものが多かったわけだけれども、ここに来てようやくミステリや他のジャンルにも手を出せたような気がした。そして、読書会の度に自分が感じたものの一部すらも言語化できてはいないなと痛感している。であれば、今までため込んだ本も含めて、ある程度感想を形として残せるようなものを作ろうと思った。それがこれである。

 正直、飽き性の毛もあるのでいつまで続くかは分からないけれども、いつか見返した時に何か思えるようなものであれば幸いだと思う。